近藤講演資料(PDF)
地球環境変化の人間的側面(HD:Human Dimension)分科会は、ICSU(国際科学会議)、ISSC(国際社会科学協議会)、UNU(国連大学)の支援を受け、人文社会科学的側面から地球環境研究を推進することを目的として実施された国際共同研究プログラムでした。その目的のひとつは、文系・理系の連携を推進する仕組みを提供すること(1996,Geneva Symposium)でしたが、2018年にICSUとISSCはISC(国際学術会議)に統合したことは、文系と理系の統合による環境問題の理解と解決が学術の目的のひとつとして位置づけられたことを意味します。2015年にIHDPはFuture Earthに統合し、その名称はなくなりましたが、人間的側面(HD)の重要性はまだ十分に認識が深められているとはいえません。その役割に対する検討は日本学術会議HD分科会に継承され、分野を超えた視座・視点・視野に基づき検討が進められています。
日本学術会議第25期の最初の一年は勉強会を開催し、環境問題における人間的側面とは何か、について議論してきました。環境学委員会における今回の学術フォーラムでは、“問題”を異なる視座・視点・視野で見つめると 異なった側面が見えてくること、そこから、問題の全体像を総合的、俯瞰的に理解するためにはどのように問題を捉えたら良いのか、という点について説明を試みました。そこから問題解決型科学(Solution-oriented Science)のあり方と、それを担う科学者の立ち位置について見解を述べました。今後、HD分科会において議論を深め、意思の表出を行いたいと考えています。