実施要領(DOCX)


 実施報告

CEReSではドローンの黎明期からそのリモートセンシングへの活用の可能性を追求し、様々な環境計測や応用課題に取り組んできました。その一つが農業への応用ですが、水稲に関しては技術的な課題を解決しつつあり、現在は様々な作物への応用を試みています。これまでの約6年にわたる研究期間において日本全国の研究機関や農業団体、現場の農家さん等と情報交換を行うことができました。今回は、これまでに関係性を築くことができた方々に集まって頂き、情報交換を行う機会を設けました。 主催者としての思いは、ドローンを農業を楽しくする道具にすることです。スマート農業のシステムの中に組み込み、農業をビジネス化する道のりはまだまだ遠いと思いますが、楽して楽しみながら農を営む道具としてのドローンを育てていきたいと思います。研究会は日本で唯一の園芸学の学び舎である千葉大学松戸キャンパスの戸定が丘ホールで開催されました。51名の参加者の中には関東以外では岩手、宮城、富山、兵庫、福岡からの来訪者も含まれ、地域ごとの様々な経験を学ぶことができたと思います。休み時間には中国黒竜江省の米がふるまわれました。香りが強く、おいしい米でしたが、農作物の個性は楽しいものです。2019年は国連「家族農業の10年」の最初の年でした。今、世界は小農化へ向かっています。地域ごとの農の営みを持続させ、個性豊かな農産物を生み出すことは幸せのひとつの形態ではないでしょうか。


 NDVIに関する補足

NDVIは赤と近赤外の波長域の反射率あるいは輝度値の正規化された比で、作物や植生のリモートセンシングで活用されています。NDVIは同じ対象でも使用するカメラによって値が変わります。それは撮影する波長の幅や、波長ごとの感度がセンサーによって異なるからです。ユーザーはカメラが決まったら、圃場ごとにNDVIの特性を経験的に求めるとよいでしょう。

また、撮影する時間によってもNDVIの値は変わりますが、それは太陽光の入射角が変わること、植被面の反射には方向性がある(難しくいうと、ランバート面ではない)からです。今回は田中圭さんから発表がありましたが、正午を避けた10時から14時の間で、雲の様子を見ながら撮影を行えば良いと思います。

重要なことは、それでもNDVIから農作業を補助する様々なことがわかるということです。農業の経験とNDVIの観測値をうまく組み合わせて、地域や圃場、作物ごとに活用方法を考えていくことは楽しいことでもあるし、必ず役に立つ情報が得られるものです。


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