近藤研究室で取り組んできた福島県川俣町山木屋地区における調査、研究の成果をポスターで発表しました。要旨はタイトル、PPTはブラウズ画像をクリックしてください。
山木屋に通って3年以上が過ぎた。その思いは、現場における放射能汚染の状況を的確に把握すること、すなわちサイエンスの手法を現場に適用すること。そして、山村における暮らしと密接な関係性を持つ里山流域から優先的に、小技術・中技術(個人やコミュニティーで適用できる技術)で放射能対策を実施すること、国はそれをサポートしてほしい。また、長い時間がかかる復興の道程で、地域に対する誇りを維持、醸成していくこと、こんなことを思いながら通い続けている。一方で、山林の除染はできないという善意に基づく助言も受けることがある。しかし、そのような考え方の背後には自分と“福島”の関係性に思いが至らず、地域を地図の上で捉えることをせず、したがって地域性も理解せず、そこに人の暮らしがあったという事実にも気がつかない、そんな考え方がないか。少なくとも、そこにサイエンスはない。近代文明人としてのリテラシーがないと言っているのと同じである。仮に故郷を回復できないとするならば、故郷を追われた人々にどう報いれば良いのか、考えなければならない。自分と関係のない“国”なるものが何かやるはずだという考え方は、あまりにも他人任せで関係性を尊重しない、非近代文明人としてオルテガの言うところの“大衆”の考え方である。問題に対峙するためには、まず共感することが大切である。そして理念(どういう社会を作るか)を共有あるいは尊重しながら、科学的合理性を基本として環境回復の方法を考える。これが科学者としての役割だと考えている。