たたかう地理学

日本地理学会2013年度秋期学術大会(福島大学)における講演PPTを公開します。

近藤講演資料


福島に2年以上通いました。いくつかのプロジェクトに参加もさせて頂きましたが、サイエンスを追究する態度(それはサイエンティストにとっては当たり前のことなのですが)、“科学的合理性”により問題を解決という姿勢には何となく違和感を感じていました。問題は科学的合理性だけでは解決できず、“理念”、“共感”の三つの観点から考えることによって初めて理解でき、解決への糸口が見つかるのだと思います。理念とはどういう社会を創るのかということ。それは人の“世界”に大きく依存する。ここで世界とは人が関係性を持つ範囲で構成されるもの。だから、都市的世界観を持つ人と、農村的世界観を持つ人では理念にすれ違いが生じる。地理学者は世界を広く保ち、様々な世界を俯瞰することによって人の理念を調整する力を持たなければならない。そして、人への共感がなければ人、自然、社会の関係性に関わる問題は解決できない。


月刊地理2014年1月号に掲載されます

広域放射能汚染の圧倒的な現実を前に地理学はどう動くか