せんがみフォーラム

講演資料-地域の水循環系の中で湧水を考える-

下総台地は約13万年前の古東京湾の海底が隆起して形成された台地です。形成されてから様々な地形変化を経て現在に至っていますが、その変化は台地の地下水を効率的に排水するように調整された結果といえるでしょう。谷津は地下水を排水するという機能を持ち、その過程で湿地を形成し、様々な生態系の生息地を提供してきました。

ここに人間が進出してきたのはそんな昔ではありません。大きな変化を経験したのは最近の50年といっても良いでしょう。“人に対する利便性”が都市を建設する場に埋め込まれましたが、もともとそこにあった“場の持つ機能”が封じられてしまいました。

今、日本は高齢化社会、人口減少社会、成熟社会を迎えています。我々が生きていく未来をどのように設計していくのか。土地の持つ機能を活かすことにより、人と自然の関係を良好に保つ、そんな社会が解の一つとしてあるのではないか。そのためには、場の機能をもっと知らなければなりません。

我々が住んでいる場所のことを良く知る。このことによって、そこにある様々なものの価値に気づく。これが未来に繋がるのではないか。そんな風に考えています。


湧水保全・復活ガイドライン