茨城大学地球変動適応科学研究機関(ICAS)第一部門ワークショップ

過去から未来へ−地球変動と自然災害

 講演資料  第4回ICAS第一部門ワークショップ報告

 表記のワークショップに参加してきました。終始和やかな雰囲気で進められ、議論も深めることができて楽しい一日を過ごすことができました。茨城大学の学生さんたちの活発なコメント、質問には感心しました。これを学生力と呼んで良いでしょう。教員は学生をいかに本気にさせるか、が重要な任務であることを改めて実感しました。さて、私も自分の主張を吐露することができましたが、その要点は下記の通り。

新しく知った言葉「わがこと化」。これは「分断の修復」とほぼ同義と考えて良いのではないか。人と自然の分断を修復する、すなわち身近な自然を知ることにより、自然の価値に気付いたり、災害に対する脆弱性を知ることができる。自分を取り巻く環境諸要素との関係性に気付き、我が事として考えることにより、次世代社会のあり方が見えてくる。

座談会では栗原康先生の三つのシステムの話をしました。これは説明が難しく十分理解されていないように感じました。原義からは離れるかもしれませんが、私の解釈を再掲。

石油資源の限界が見える現在、共栄のシステムは考えにくい。よって、共貧のシステムと緊張のシステムのどちらかに移行しなければならないが、両者は共存できるのではないかというのが私の考え。コンパクトシティーは緊張のシステムにより運営し、グローバル社会に対応。郊外は良好な農村とし、共貧のシステムで運営するが、両者の間を行き来できる社会を構築。これには国民が環境、災害ほか様々なリテラシーを身に付けている必要がある(教育の重要性)。この両システム共存社会にはグローバル経済圏に対する地域経済圏の確立が前提となるように思う。


「過去から未来へ:地球変動と自然災害」

〜第4回ICAS第一部門ワークショップ〜

 茨城大学地球変動適応科学研究機関(ICAS)の第一部門(適応技術)では,研究・活動報告を行うと共に,様々な分野で,地球変動や自然災害に適応するための思想や考え方,技術について造詣の深い講師の方々をお招きしご講演いただくワークショップを,毎年開催しております.2009年度は「過去から未来へ:地球変動と自然災害」をテーマに,地盤工学,情報・リモートセンシング,地理学などの学問分野から地球変動や自然災害に関する研究を進められている3名の講師をお招きしご講演いただきます.また,パシフィックコンサルタンツ・茨城大学地球変動適応科学研究機関の町田聡博士より,地歴や地質変遷の視点から新しい展開を目指す研究内容を楽しくご講演いただきます.また,ご講演いただく講師の方々も交えて茨城大学ICASメンバー,ご参加いただく教職員,学生の皆さんと一緒に,「過去から未来へ」を考え,地球変動やICASの方向性を考える座談会も企画しております.万障お繰り合わせの上,ご参加いただきますようお願いいたします.

日時:2009年12月4日(金),9:50〜17:00

場所:茨城大学インフォメーションセンター(水戸市三の丸1-5-38)

講演者(敬称略)および講演時間:

9:50〜10:00:挨拶:安原一哉(茨城大学・ICAS第一部門リーダー)
10:00〜11:00:講演「小学生による地すべり観測 −石川県輪島市深見小学校の例−」太田秀樹(中央大学)
(10分休憩)
11:10〜12:10:講演「衛星環境変動学を目指して」近藤昭彦(千葉大学)
12:10〜13:30:昼休み
13:30〜14:30:講演「臨海地域の地形環境と脆弱性」海津正倫(名古屋大学)
(10分休憩)
14:40〜15:40:講演「時間軸を考慮した地理空間情報の基盤整備について」町田聡(パシフィックコンサルタンツ,茨城大学ICAS)
(15分休憩,座談会形式に会場設営)
15:55〜17:00:座談会 テーマ「ICASの一次総括として:過去から未来へ,持続可能とは何だろうか?」
ディスカッションリーダー: 安原一哉(茨城大学)
座談会出席者:太田秀樹,近藤昭彦,海津正倫,町田聡ほか,参加者一同